日本皮膚科学会雑誌
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マウス生長期毛球部組織由来の好中球及びリンパ球遊走因子の性状について
宋 玉如宮澤 順子高森 建二
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1990 年 100 巻 9 号 p. 913-

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抄録

正常C3Hマウス(♂)の生長期毛球部組織抽出液(HBE)中に好中球及びリンパ球遊走因子が存在することをin vitroの系で証明した.好中球に対する遊走活性は100℃,10分間の加熱及びprotease処理によりほぼ失活したのに対し,リンパ球に対する遊走活性はこれらの処理に抵抗性を示した.一方,neuraminidase処理によってリンパ球に対する遊走因子の活性は約30%失われたが好中球に対する走化活性は安定性を示した.又両者とも56℃,30分間の加熱処理及び透析処理による遊走活性の低下は殆ど見られなかった.以上より生長期毛球部組織には各々好中球及びリンパ球に対する,少なくとも2種類の遊走活性物質が存在することが示唆された.

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© 1990 日本皮膚科学会
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