乾癬の遺伝的背景を明らかにする目的で乾癬患者32例(男性26例,女性6例)を対象として血清アポEを等電点電気泳動法により分析した.乾癬患者のアポE表現型では一般健常人に比べE3/2が高く,E3/3が低い傾向が認められた.乾癬患者の遺伝子頻度では一般健常人に比べε2が高く,ε3が低い傾向が認められた.アポE3/2およびε2の出現頻度が高い傾向は,初発時期別では高年初発例よりも若年初発例に,重症度別では軽・中等症群よりも重症群に,皮疹型別では局面型皮疹の限局型よりも滴状型と局面型皮疹の汎発型とにそれぞれ認められた.しかし以上いずれも有意差は認められなかった.以上より,アポE遺伝子のうち,ε2はとくに若年発症例や汎発する皮疹のの発症およびリポ蛋白代謝異常の遺伝的基盤として関与していることが示唆された.