1990 年 100 巻 9 号 p. 947-
知能低下,聴力障害などの神経症状が認められた色素性乾皮症(XP)の16歳男子例を報告した.線維芽細胞を用いた遺伝的相補性群の検討からは,本症患者はC群に属する可能性が示唆された.現在まで6個の基底細胞上皮腫(BCE)の発生が組織学的に確認されたが,cancer preventionの目的でetretinateを投与し4年間経過観察した結果,腫瘍の発生に対する本剤の抑制効果については評価困難であったものの,腫瘍の増大傾向が遅延するという印象が得られた.XPにおけるレチノイドの発癌予防についてその問題点と作用機序について文献的に考察した.