日本皮膚科学会雑誌
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活性型ビタミンD3類によるメラニン生成及び角化促進作用の比較研究―茶系モルモットおよびB16マウスメラノーマ細胞培養系を用いて―
小川 忠丈四宮 達郎勝岡 憲生西山 茂夫
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1991 年 101 巻 10 号 p. 1109-

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抄録

3種のビタミンD3類,ビタミンD3(VD),25-ヒドロキシビタミンD3(25VD),1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(1α,25VD)が,メラニン生成と角化に及ぼす影響を調べる為に,in vivo実験として茶系モルモットに試料を連続塗布した.in vitro実験として,B16メラノーマ細胞の培養系に試料を添加した.メラニン生成の指標として,試料を連続塗布した動物の皮膚色,被毛色,被毛中メラニン量,皮膚組織中メラニン量,DOPA陽性細胞数を測定した.また,培養B16メラノーマ細胞への14C-DOPAの取り込み量を測定した.角化の指標として,動物の剥離角質細胞数を調べた.結果,メラニン生成に関し,1α,25VD塗布動物群において,皮膚色明度の低下,組織中メラニン量の増加,DOPA陽性細胞の増加が顕著であった.培養細胞に添加した場合に,DOPAの取り込みも促進され,1α,25VDは明らかにメラニン合成を促進した.25VD塗布動物群においては,皮膚色明度の低下,組織中メラニン量の増加,DOPA陽性細胞の増加の程度は弱く,25VDのメラニン生成促進作用は,1α,25VDよりも弱かった.VD塗布群においては,上記変化が無く,メラニン生成に対して影響が無いと考えられた.角化に関し,1α,25VD塗布動物群において,剥離角質細胞数の増加が顕著で,角化促進作用が認められた.25VD塗布動物群においては,その程度が弱く,VD塗布群では変化が事実上無かった.本実験に使用した茶系モルモットのメラニン生成と角化に対して,1α,25VDは25VDよりも明らかに促進作用が強かった.VDはメラニン生成と角化に対して,促進作用が無いと考えられた.

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© 1991 日本皮膚科学会
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