1991 年 101 巻 8 号 p. 813-
Griseofulvin(GF)-induced protoporphyriaに対するursodesoxycholic acid(URSO)の影響を調べるために,ddY系マウスを,GFとURSOをそれぞれ0.5%含有するMF固形飼料で飼育し,血液,肝臓,糞便などに含まれる各ポルフィリン値の変動を測定し,併せて肝臓の組織学的検討を行なった.その結果,血液中ポルフィリン体はGFをURSO併用群で,GF単独群に比べ有意に増加していたが,肝臓,糞便中ポルフィリン体は,両者間で差はなかった.しかし,GFとURSO併用群の肝臓は,萎縮し,黒褐色調を呈し,長波長紫外線検査灯を照射すると赤色蛍光の点在が認められた.肝組織のHE染色では,多数の巣状の肝細胞壊死と単核球を主とした細胞浸潤が認められた.URSOはcholic acid(CA)の誘導体であり,CA同様,肝臓に増加したポルフィリン体の血清から血球への移行過程を抑制し,胆汁から糞便への排泄を促進するのではないかと予測していたが,実際は,CAとは全く異なり,GF-induced protoporphyriaに対して,むしろ肝細胞障害性に作用すると考えられた.