日本皮膚科学会雑誌
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分散染料の皮膚刺激性―染色布による検討―
河合 敬一細谷 敏博伊藤 隆一河合 淳北村 恵之助近藤 智吏武内 伯文手島 馨徳永 元次中川 幹雄奈良 龍吉弓削 治
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1992 年 102 巻 11 号 p. 1411-

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抄録

近年,合成繊維の発達とともに合成染料の需要が増加してきている.これに伴い,合成染料による皮膚障害の報告が数多くなされるようになったが,それらのほとんどはアレルギー性皮膚障害についてのものであり,染料の一次刺激による皮膚障害の報告は少ない.今回我々は,ポリエステル織物に対し,過去にアレルギー性皮膚障害の報告のあった分散染料と,現在大量に使用されておりかつ皮膚障害の報告がなかった分散染料を用いて,種々の濃度で同一の条件にて染色を行い,それぞれの染色布の皮膚刺激性を,河合法を応用して検討した.皮膚刺激値は,染色濃度の増加に伴って高くなる傾向を示した.また,過去にアレルギー性皮膚障害のあった染料の方が,皮膚障害の報告のなかった染料に比べて刺激値は高い傾向にあった.また,還元洗浄を行うと刺激値は低下する傾向が認められた.還元洗浄は,染色工程において未染着の染料を除去する効果があり,還元洗浄を行うことは染色布の皮膚刺激性を低くするために重要であると考えられた.

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© 1992 日本皮膚科学会
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