日本皮膚科学会雑誌
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全身性強皮症東京都認定患者を対象とした疫学調査―3種の特異抗核抗体に着目した解析―
玉木 毅竹原 和彦森 俊二
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1992 年 102 巻 14 号 p. 1745-

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抄録

東京都において昭和62年度に特定疾患として登録されている全身性強皮症患者を対象に疫学調査を行った.まず,東京都衛生局医療福祉部特殊疾病対策課に保管されている全身性強皮症患者の申請書および診断書をもとに,636名の患者及び主治医リストを作成した.次に個々の患者の主治医宛に臨床症状,検査データ,治療等についての調査票を送付し,その回答を集計,解析した.合計357名分の回答が得られたが,本報告では,そのうち248名の定型的全身性強皮症の症例に対し,抗トポイソメラーゼーⅠ抗体,抗セントロメア抗体,抗U-1RNP抗体,の3つの特異抗核抗体に着目した統計学的な解析を試みた.その結果,①抗トポイソメラーゼ-Ⅰ抗体陽性群では,広範に皮膚硬化が見られ,肺・消化器などの内臓病変を高率に伴う.②抗セントロメア抗体陽性群では,各種主要症状の頻度が低く,検査所見の異常も低率である.③抗U-1RNP抗体陽性群では,全身性強皮症主要症状に関しては抗トポイソタラーゼ-Ⅰ抗体陽性群と抗セントロメア抗体陽性群の間に位置し,加えて,発熱,関節・筋症状,血沈・血液生化学検査異常などの炎症症状を伴う等の結果を得,過去に指摘されてきた特異抗核抗体と臨床症状との相関は本疫学調査によっても確認された.

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© 1992 日本皮膚科学会
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