日本皮膚科学会雑誌
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悪性黒色腫におけるType IVコラーゲン,ラミニンの存在様式についての免疫組織学的検討
吉井 章影下 登志郎木村 達平井 俊二小野 友道荒尾 龍喜
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1992 年 102 巻 4 号 p. 471-

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抄録

基底膜の構成成分であるラミニンとⅣ型コラーゲンに対するモノクローナル抗体を用いて悪性黒色腫における両者の分布を免疫組織学的に検討した.その結果,正常表皮基底膜部では明瞭な線状の反応が見られるのに対し原発巣では臨床病型の如何を問わず腫瘍細胞の表皮基底膜に接する部位,すなわち境界部位では連続性が断たれ,破線状,点状を呈し菲薄化,肥厚及び多層化が認められた.この所見は,境界部位が深く,腫瘍胞巣が大型であるほど著明であり,また,真皮内やリンパ節に浸潤性に増殖している腫瘍胞巣では,(1)腫瘍胞巣を取り囲みほぼ連続した線状の反応を示すもの(Cタイプ),(2)連続性は認められず破線状,断片状に見えるもの(Fタイプ),(3)点状を呈するもの(Dタイプ)が見られた.(1)(2)に関しては,20個以下の腫瘍細胞をとり囲む小胞巣と,それ以上の腫瘍細胞をとり囲む大胞巣の2種の染色所見に区別し得た.転移巣では,皮膚,リンパ節とも前述のC,F,Dのいずれのタイプも認められたが,転移巣においては基底膜の断裂が原発巣に比しより著明化していた.また原発巣の真皮内腫瘍胞巣での染色所見による予後を比較検討したが,連続性反応群と不連続性反応群との間に有意差は認められなかった.

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© 1992 日本皮膚科学会
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