日本皮膚科学会雑誌
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エクリン汗器官癌自験18例の臨床病理学的研究
安斎 真一橋本 秀樹後藤 一史穂積 豊麻生 和雄
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1992 年 102 巻 4 号 p. 479-

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抄録

山形大学医学部皮膚科並びに山形県立新庄病院皮膚科で経験したエクリン汗器官癌18例について臨床病理学的検討を加えた.臨床的には,男性7例,女性11例と女性に多く,初診時年齢は平均71.7歳,病悩期間は平均4.4年であった.発生部位としては四肢次いで頭部・顔面に多かった.本腫瘍の臨床形態をA,B,Cの3型に分類した.所属リンパ節転移や局所再発はB型,A型,C型の順に高率であった.扁平上皮癌に準じた治療により,18例のうち不明の1例,他病死の1例を除いた16例で本腫瘍による死亡はない.病理組織学的には本腫瘍をエクリン汗孔癌(EPC),汗管腫癌(SC),悪性澄明細胞汗腺腫(MCCH)の3型に分類した.EPCを小型で好塩基性のporoma細胞様細胞(PC)と澄明細胞(CC)からなるもの,SC,PCに似た細胞からなるもの,MCCHをPCとCCが混在して見られるものとした.各型とも角化傾向はほとんど見られず,管腔構造が特徴的であった.SCでは局所再発やリンパ節転移が高率にみられた.5種類の抗体を用いた免疫組織化学的検索では癌胎見性抗原と上皮膜抗原の検索が本腫瘍と他の腫瘍との鑑別に有用であった.

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© 1992 日本皮膚科学会
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