日本皮膚科学会雑誌
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水疱性類天疱瘡の水疱形成機序におけるγ-interferonの役割(IFN-γ)(第2報)―水疱形成におけるIFN-γと自己抗体との相互作用について―
滝口 好彦
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1992 年 102 巻 5 号 p. 559-

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抄録

水疱性類天疱瘡(BP)において,著者らはこれまでに免疫組織学的所見からBP病変部の浸潤リンパ球中にγ-interferon(IFN-γ)を検出し,BPの水疱内容液中に,IFN-γが存在することを見い出した.前報において,抗原刺激を受けたT細胞が分泌するIFN-γが皮膚組織に与える影響について,器官培養法を用いて検討し,高濃度のrecombinant-IFN-γ(r-IFN-γ)を添加することにより,器官培養皮膚には線溶現象を伴うBP類似のdermal-epidermal separation(DES)が生じることを報告した.このたびは,さらにBP抗体とIFN-γの相互作用を確認するため,前報にてDESが生じた濃度よりさらに低い濃度のr-IFN-γと少量のBP患者新鮮血清(BPS)を同時に添加培養し,これらが正常ヒト皮膚組織に与える影響を光顕的・免疫組織学的に検討した.その結果,500IU/mlのr-IFN-γ添加により器官培養皮膚にはBP類似のDESが観察された.この現象から,BP患者の水疱形成は刺激されたT細胞が分泌するIFN-γと,BP抗体や補体などが存在するBPSの相互作用により,水疱を形成したと考えられる.このことは,病変部におけるT細胞の浸潤とIFN-γ分泌細胞の存在の所見からも,BP患者の水疱形成機序においては,血清免疫反応に加えて細胞性免疫反応が関与していることを示唆している.

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© 1992 日本皮膚科学会
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