1992 年 102 巻 5 号 p. 569-
出産・感染などを機に発熱,全身の皮膚の膿疱化を繰り返していた乾癬に対し,10年以上にわたりエトレチナートを投与したところ,経過中に右股関節の激痛を生じ,歩行困難となった40歳女性例を報告する.骨X線上,右股関節および右膝関節に造骨性変化がみられ,エトレチナートが原因であろうと推定した.エトレチナート中止後,右股関節の骨切除を施行し,関節包の外側に付着して存在する化骨を切除したところ,その組織像はfatty marrowを伴うspongy boneであった.エトレチナートによる骨,関節病変の組織学的検討を行った最初の報告である.