1992 年 102 巻 5 号 p. 583-
今回,イオントフォレーシス療法(水道水法/週1回)の臨床効果を評価するため大橋らの開発した局所発汗量連続記録装置を用いてその治療効果を判定した.外用,内服療法で改善が認められなかった難治性の掌蹠限局性多汗症10例に対する治療効果を検討した.施行後4週から16週目まで2週ごとに局所発汗量連続記録装置を用いて対側手握り刺激を発汗誘発刺激とし,第1指屈面の発汗量を定量した.療法開始4週より発汗量を定量した.療法開始6週ごろより発汗量の減少を認め,12週後には治療前の発汗量の3分の1程度にまで改善した.以上より,イオントフォレーシス療法(水道水法)が治療抵抗性の掌蹠局所多汗症に有効な手段であることが,局所発汗量測定装置により証明された.