日本皮膚科学会雑誌
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甘草のフラボノイド抽出物によるmelanogenesisの抑制効果―II―in vivo系について―
川口 新暉呉 貴郷河 陽子鹿島 眞人溝口 昌子
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1992 年 102 巻 6 号 p. 689-

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抄録

植物甘草成分のフラボノイド疎水画分中に,tyrosinase活性を阻害する成分(LE-1と略す)が含まれていることがin vitro系の実験から明らかになった.今回は,この甘草成分をin vivo系について報告する.褐色モルモット皮膚にUVBおよびPUVA照射後に生じた色素沈着に,2週間連続甘草エキスを塗布した.脱色効果はいずれも対照物質のhydroquinone(HQ)より軽微であったが,コントロールの部位よりも明らかな脱色が認められた.また,ヒト皮膚にUVBを照射後に生じた色素沈着に対しても,同様の脱色効果が認められた.生検したモルモット皮膚組織のFontana-Masson染色では,表皮のメラニン顆粒の沈着がかなり減少していた.表皮の剥離dopa反応においても,dopa陽性細胞の減少が認められた.in vitroおよびin vivoの実験系から,甘草エキスLE-1はtyrosinase活性を阻害することによりmelanogenesisを抑制することが確認された.しかし,tyrosinase活性阻害作用の詳細なメカニズムはまだ明らかではない.

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© 1992 日本皮膚科学会
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