日本皮膚科学会雑誌
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ループスアンチコアグラント陽性のHypereosinophilic syndrome
豊田 雅彦崎田 茂晃関 太輔諸橋 正昭
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1992 年 102 巻 7 号 p. 827-

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抄録

ループスアンチコアグラント陽性のHypereosinophilic syndromeの症例を報告した.患者は32歳男性で,臨床的には好酸球増加症,結節性紅斑様皮疹,四肢の静脈血栓症および好酸球の肺浸潤等が認められた.組織学的に,皮疹部では著明な好酸球の浸潤を認めたが血管炎および微小血栓は認められなかった.下腿の静脈では非炎症性の血栓が認められた.末梢血中には好酸球由来の顆粒蛋白であるeosinophil cationic proteinの増加を認めた.血液凝固検査にてPT・APTTの延長が認められたためAPTT補正試験を施行し,ループスアンチコアグラントの存在を確認した.以上より,本症の静脈血栓症の発症には,好酸球由来の顆粒蛋白とループスアンチコアグラントの2つの因子が関与していることが示唆された.皮膚症状を伴ったHypereosinophilic syndromeとループスアンチコアグラントの合併の報告は,著者の調べえた限りでは見られなかった.自験例における各症状・所見,特に血栓形成機序について,Hypereosinophilic syndromeとループスアンチコアグラントの2つの観点から文献的考察を加えた.

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© 1992 日本皮膚科学会
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