日本皮膚科学会雑誌
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Systemic Lupus Erythematosus (SLE)患者における抗Ubiquitin抗体の存在
刀祢 真理衛藤 光西山 茂夫佐藤 光男佐藤 征二
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1992 年 102 巻 8 号 p. 963-

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抄録

蛋白の生体内分解除去機構に関与する一種のheat shock proteinであるUbiquitin(Ub)に対する抗体をSystemic Lupus Erythematosus(SLE)患者において検討した.血清抗体の測定は36例の健常人を対照群として,Streptavidin-biotinを用いたenzyme linked immunosorbent assay(ELISA)で測定した.71例のSLE患者のうち抗Ub抗体(IgA・IgG・IgM全クラス)は50例(70%)が陽性となった.また,45例(63%)が抗Ub抗体IgG陽性を示し,抗Ub抗体IgMは27例(38%)で陽性であった.皮膚症状およびその他の臨床症状と臨床検査成績との相関をみたところリベドと中枢神経障害で陽性率が高値を示した.年齢,抗ds-DNA抗体,抗カルジオリピン抗体,CPK,蛋白尿との関連は明らかではなかった.抗Ub抗体IgGが高値を示した10例では抗ds-DNA抗体価50unit以上の症例が6例,CPK低値が8例,蛋白尿陽性が6例認められ,活動性が高い傾向を示した.Ubの生体内の機能の詳細については依然として不明の点が多い.SLEの病態との関係では,変性したDNAなどの細胞内異常蛋白の分解除去がUbの抗体の存在により阻害され,病勢を悪化させている可能性が推測された.

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© 1992 日本皮膚科学会
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