日本皮膚科学会雑誌
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Isotope uptakeを指標としたin vitro 制癌剤感受性試験の基礎的検討 Ⅱ. Cell lines と制癌剤の効果との関係
金森 幸男立原利 江子今井 俊哉青木 雅子相良 宗徳中山 恵二中村 進一
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1993 年 103 巻 10 号 p. 1279-

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抄録

in vitro でのisotope uptake を指標とした制癌剤感受性試験を,G361,HMV・1およびMewoの3種類のヒトメラノ-マ細胞樹立株と制癌剤としてDTIC,VCR,ACNU,BLM,PEP およびCDDPの6種類を使用して,基礎的検討を試みた.96well平底microculture plateを使用し,1×104/wellとなるように細胞数を調整して,4日目にDNA,RNAおよび蛋白合成を測定した.各々制癌剤の濃度は,peak plasma concentrationおよびその1/10と1/100の濃度を使用した.DTICを使用した場合には,G361のDNA合成とHMV-1の蛋白合成が最も感受性が高く,VCRでは,HMV-1とMewoのRNA合成の感受性が低く,BLMでは,HMV-1とMewoのDNA合成が高い感受性を示し,PEPでは,MewoのDNA合成が最も感受性が高く,CDDPでは,G361とMewoのRNAおよび蛋白合成の感受性が低いことが明らかとなった,各々の制癌剤は,DNA,RNAおよび蛋白等の合成系のうちのどれか一つの合成系に働いて,その抗腫瘍効果を発揮するのではなく,DNA,RNAおよび蛋白合成のいずれを効率よく抑制するかは,targetとして使用されたcell lineによって異なることが証明された.

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© 1993 日本皮膚科学会
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