日本皮膚科学会雑誌
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プロテアソーム(高分子量タンパク分解酵素)の各種皮膚疾患における組織内分布・挙動について―第4報―
須賀 康高森 建二
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1993 年 103 巻 4 号 p. 507-

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抄録

プロテアソーム(高分子量タンパク分解酵素)は,近年新たに発見された非リソゾーム系セリンプロテアーゼのひとつである.今回,ヒト肝プロテアソームモノクローナル抗体を用いてヒト皮膚中におけるプロテアソームの存在を,1.正常皮膚,2.尋常性乾癬,3.いくつかの代表的な皮膚悪性腫瘍(有棘細胞癌,Bowen病,基底細胞上皮腫)の組織を用いて検討したので報告する.ヒト正常皮膚では,プロテアソームは主として表皮細胞質に均一な陽性所見として認められ,顆粒層から有棘層の核にも陽性反応が認められた.尋常性乾癬では,顆粒層から有棘層下層の細胞質と顆粒層から有棘層の核に強い陽性所見が認められた.一方,有棘細胞癌やBowen病のような悪性腫瘍細胞では細胞質には殆んど陽性所見が認められず,核にのみ特異的に強い陽性反応が認められた.しかし,基底細胞上皮腫では細胞質,核ともに弱い陽性所見を示した.以上の結果は表皮細胞の分化の制御機構や悪性化にプロテアソームが関与している可能性を示唆している.

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© 1993 日本皮膚科学会
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