日本皮膚科学会雑誌
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文身皮膚から分離された組織球の培養
岡本 英理子喜多野 征夫
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1993 年 103 巻 6 号 p. 783-

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抄録

文身部皮膚の培養組織片から遊出した色素含有細胞を観察した.細胞は培養開始2日目頃から文身の培養組織片より遊出しはじめ,色素含有細胞を含む線維芽細胞様細胞の継代後も,培養ディッシュに付着し2ヵ月間培養可能であった.遊出した細胞は分裂像は観察されず,増殖はみられなかったので,線維芽細胞様細胞の増殖に伴って,色素含有細胞は認めることが困難になった.細胞化学的に色素含有細胞は,NaFで阻害される非特異的エステラーゼ陽性,酸性フォスファターゼ陽性,リゾチーム陽性であり組織球と同定した.また,電顕X線解析によって,培養組織球内の色素顆粒は,赤色色素では水銀とモリブデンを,黄色,緑色色素はチタンを含有していることを証明した.この培養所見から,文身組織局所の組織マクロファージは,金属色素を貪食し,世代交代することなく長期間生存し,文身色素を保持していると考えられた.

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© 1993 日本皮膚科学会
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