日本皮膚科学会雑誌
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長期透析患者の下腿に生じた蓚酸カルシウム沈着症
菅谷 和江鈴木 裕介衛藤 光西山 茂夫新井 春枝高橋 裕一郎森 隆司
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1993 年 103 巻 9 号 p. 1189-

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抄録

52歳,女性.4年前より下腿に有痛性の硬結を生じた.慢性腎不全で週3回の透析を約10年受けており,糖尿病,心不全,肝機能障害を合併している.紫褐色の有痛性硬結が下腿に散在し,皮膚組織検査にて,車軸状構造の針状結晶を真皮中層から下層に多数認めた.結晶周囲に巨細胞を認めるが,リンパ球,形質細胞,好酸球の浸潤は少なかった.コッサ染色陰性,蓚酸カルシウム染色で陽性で,蓚酸カルシウム沈着症と考えられた.X線回折解析でも蓚酸カルシウム一水和物と判明した.腎不全による透析が長期化すると高頻度に蓚酸カルシウムの沈着か腎・心を中心に発生するが,皮膚への沈着は稀である.長期透析患者の増加とともにこのような皮膚症状の増加が予想される.

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© 1993 日本皮膚科学会
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