日本皮膚科学会雑誌
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メラニン陽性B16マウスメラノーマ細胞のメラニン陰性細胞への変換におよぼす細胞外マトリックスの影響
石河 亜紀子
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1994 年 104 巻 1 号 p. 1-

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抄録

B16マウスメラノーマのcell lineからメラニン顆粒の有無でクローニングを行いmelanotic melanoma株(M3)とamelanotic melanoma株(A7)とを樹立した.M3は細胞が小型紡錘形でコロニーを形成しながら増殖する傾向があるのに対し,A7では大型,線維芽細胞様で均一に増殖する傾向があった.またA7ではフィブロネクチンの産生が高く,これはmRNAレベルの増加を伴っていた.更にコラーゲン或いはフィブロネクチンをコーティングしたディッシュ上でM3・A7を培養したところコラーゲン上で培養したM3のみ,メラニン量の少ないA7類似の形態の細胞への変換が観察された.この変換に伴い,フィブロネクチン産生量に変化はみられず,コラーゲン様タンパクの産生の相対的増加が認められた.以上からmelanotic melanomaからamelanotic melanomaへの変換には細胞外マトリックス,特にコラーゲンが関与しており,細胞外マトリックスが細胞の形態変化と共にチロジナーゼ発現を調節していることが示唆された.

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© 1994 日本皮膚科学会
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