日本皮膚科学会雑誌
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成人型アトピー性皮膚炎に対する紫外線(UVA+UVB)コンビネーション療法
花田 勝美太田 俊明木村 有子原田 研橋本 功
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1994 年 104 巻 1 号 p. 17-

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抄録

従来の治療に抵抗を示した,重症の成人型アトピー性皮膚炎患者8名(男3名,女5名,16~26歳)に対して、Waldmann cabin全身縦型紫外線照射装置(UV8001K型)を用い,紫外線(UVA+UVB)コンビネーション療法を行った.初回量,UVAは3.0J/cm2,UVBは20mJ/cm2より漸増してゆき,前者は最大6.0J/cm2,後者は最大200mJ/cm2を越えない量にまで増量した.その結果,平均照射回数15.4回(3~8週),UVB平均総照射量1.136.3mJ/cm2で全例に寛解をみた.とくに,PUVA同様瘙痒に対する抑制効果に優れていた.臨床検査成績では,好酸球増多の改善をみたが,血中IgEの低下はみなかった.抗核抗体は検査症例で治療前,いずれも陽性を示したが,治療中,2例に陰性化をみた.主な副作用である色素沈着はスキンタイプ依存性であったが,スキンタイプは寛解導入期間に影響を与えなかった.本治療法は,コルチコステロイド外用の軽減,離脱を容易にさせることに加え,外用PUVAに比較して色素沈着のむらをみないほか,処置前に8-methoxypsolarenの外用,内服が不要である点,外来治療が可能であり,入院治療の困難な成人型アトピー性皮膚炎患者の治療には適した方法と考えた.

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© 1994 日本皮膚科学会
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