日本皮膚科学会雑誌
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右足部壊死・切断に至った結節性多発動脈炎の1例
高橋 さなみ小松 平毛利 忍加藤 安彦中村 宣生
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1994 年 104 巻 14 号 p. 1747-

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抄録

53歳の男性,1987年結節性多発動脈炎(以下PN)と診断され,最近はPSL約10㎎/日でほぼ寛解状態であったが,1993年6月,突然右足部の疼痛と冷感を自覚,保存的治療に反応せず切断に至った.切断肢を病理的に検討,前脛骨動脈は起始部より内腔が閉塞し周囲と線維性に癒着していた.腓骨動脈は下腿ほぼ中央部で分節状に内腔が閉塞しその抹消も狭窄していた.後脛骨動脈は下腿中央部で内腔が狭窄し,それより抹消部に動脈瘤がありその前後7cmにわたって赤色血栓で完全閉塞していた.組織学的には内膜の肥厚,内弾性板の破壊,中膜・外膜の強い線維化等,瘢痕期の全層性動脈炎の所見が認められた.本症例の閉塞部位はBuerger病の好発部位であるが,組織学的所見を勘案してPN単独による変化と考えた.

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© 1994 日本皮膚科学会
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