1995 年 105 巻 13 号 p. 1757-
らい外来診療の現状を把握するためアンケート調査を実施した.回収111通中25施設で733名の外来診療を実施していた.診療形態は療養所内,らい患者専用の特殊診療所,大学病院,一般病院,らい療養所医師出張,一般診療所の6種であった.診断確定には臨床症状,スメア検査,病理組織所見等を総合的に検討して行っていた.診断名は,保険診療している施設ではらいの他に,保険病名[(非定型)抗酸菌症,結核・結核疹,神経炎,紅斑症,など]を記載している施設が多かった.治療はWHOの推奨する多剤併用療法(MDT)を中心とし,ニューキノロン剤なども用いられていた.薬剤の入手は患者負担の少ないような工夫がみられた.治療終了の判定はWHOのMDT基準や臨床症状,菌陰性化などを指標としていた.らい外来診療実施にあたっては,保険診療にするとともに,DDSなどの内服薬を保険薬として採用し,かつ長期内服薬なので安価にし,治療判定基準を明確にする必要がある.さらに医療関係者,一般市民,患者共にらいに対する偏見をなくし,普通の感染症としての対応をするように啓蒙することが大切である.