日本皮膚科学会雑誌
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成人型アトピー性皮膚炎の重症度点数化の検討
横関 博雄松永 剛谷口 裕子片山 一朗西岡 清
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1995 年 105 巻 5 号 p. 707-

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抄録

成人型アトピー性皮膚炎(AD)に特徴的な皮膚症状を中心とした重症度の点数化を試みた.東京医科歯科大学皮膚科に受診した59症例(15歳から37歳)の患者の重症度をアンケート用紙を用い,自覚症状を中心とした簡便は点数化方法(Patient score,PS)と,皮膚科医師が診察して得た他覚所見を中心にした重症度を点数化する方法(Clinician score,CS)の2方法を用いて評価した.また,それぞれの点数と好酸球数,血清IgE値,ダニのRAST値との相関性を検討した.各重症度と検査所見それぞれの間で相関関係を調査したところ,PSとCSの間では相関係数が0.65となり統計学的に有意に正の相関関係がえられた(p<0.01).CSは血中IgEレベルとの間で0.5015の相関係数が得られ,統計学的に有意な相関関係が認められた(p<0.05).臨床像よりADを軽症,中等症,重症に分類し,PS,CA,血中好酸球数,血清IgE値,ダニのRAST値を比較検討したところ,PS,CS共に軽症と中等症,中等症と重症間でそれぞれ統計学的に有意差が認められた(PS:p<0.005,CS:p<0.001).好酸球数および血清IgE値,ダニのRAST値は重症AD,中等症AD,軽症ADの間で統計学的に有意差は認められなかった.以上の結果より成人型ADの皮膚症状を中心とした重症度スコアは,PS,CSも共に15歳以上の成人ADにおいてはADの重症度を反映していると考えられた.またアンケート用紙による重症度も,医師による重症度判定と同程度であったことから,簡便かつ十分に重症度を評価しうると考えられた.

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© 1995 日本皮膚科学会
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