日本皮膚科学会雑誌
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神経線維腫症1の遺伝子解析
澤田 俊一David H. Viskochil
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1995 年 105 巻 9 号 p. 1187-

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抄録

10名のNeurofibromatosis 1(NF1)患者の末梢血白血球分画より抽出したconstitutional DNAを被験対象としてNF1遺伝子変異の解析を行った.NF1遺伝子には現在59のエクソンが確認されているが,今回我々はそのうちエクソン40から49までの11エクソンについて,13の領域を増幅するNF1エクソン特異的プライマーを設定しpolymerase chain reaction(PCR)法を行い,さらに21M13,M13RP1ユニバーサルプライマーを用いて,size-shift assay,single strand conformation polymorphism(SSCP)法,magnetic beadsを利用したdirect sequence法で遺伝子変異の解析を行った.結果は1症例で,エクソン44においてNF1 disease causingと思われるNF1遺伝子の変異を確認した.この変異はcDNAポジション7712から7720までの9bpの欠失と,あわせて同部位に2bpが挿入された結果,7bpのフレームシフトを起こしコードする蛋白が異なり,32コドン下流でストップコドンの出現をみている.また我々は,イントロン40においてポリモルフィズムを検出した.今回の結果より,我々が確立したこの実験系が,NF1遺伝子変異の解析について有用であることが証明された.また21M13,M13RP1ユニバーサルプライマーならびにmagnetic beadsを利用したこの実験系はNF1遺伝子変異の解析のみならず,他の遺伝性疾患のDNA診断,感染症のDNA診断等にも有力な実験系であると考え報告した.

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© 1995 日本皮膚科学会
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