1996 年 106 巻 10 号 p. 1289-
当科アトピー外来を受診した思春期以降のアトピー性皮膚炎(AD)患者102名の抗Malassezia furfur(MF)IgE抗体価(抗Pityrosporum(PO)IgE抗体価)をCAP RAST(CR)法で測定し,血清総IgE値および顔面・頸部の皮疹の重症度との相関を検討するとともに、同患者血清を用いてのAlaSTAT(Al)法による抗MFIgE抗体価(抗MFAl値)との相関およびすでに報告したAl法での同様の検討結果と比較した.また非特異的IgE添加による抗MFAl値およびCR法による抗MFIgE抗体価(抗POCR値)への影響を比較検討した.その結果AD患者群においてCR法による抗MFIgE抗体陽性者は高率(79.4%)に認められ,抗POCR値は,抗MFAl値以上に血清総IgE値と高い相関を示し、抗MFAl値ともよく相関していた.さらにAl法では顔面・頸部皮疹の重症度の高いものに抗MFIgE抗体価が高い傾向は認められたものの有意な相関は得られなかったが,CR法では有意な相関を認めた.また非特異的IgE添加により抗MFIgE値が上昇しスコア値が陰性から陽性へ変わるものが,CR法よりAl法に多く認められた.以上より,思春期以降のADに出現し増悪する顔面・頸部の皮膚炎にMFの関与が再度示唆されたと伴に,CR法がAl法に比べより特異的に抗MFIgE抗体を測定し得る可能性があると考えられた。