日本皮膚科学会雑誌
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可溶化ヒトFcεRIα鎖(solubleα)を用いたELISAによるアトピー性皮膚炎患者IgEの測定
須藤 一羅 智靖
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1996 年 106 巻 11 号 p. 1377-

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抄録

ヒト血清中のIgEを,組み換え型のヒト高親和性IgEレセプターα鎖細胞外ドメイン(solubleα)を用いたsolubleα-ELISA(FcεRIα鎖に結合しうるIgE)と従来のサンドイッチ-ELISA(血清中の総IgE)にて測定し,アトピー性皮膚炎における種々の臨床的パラメーターとの相関を検討した.対象はアトピー性皮膚炎(AD)患者84名,正常人25名である.その結果,1.solubleα-ELISAによるIgEの測定値:FcεRI-結合性IgEは,AD患者において有意に増加していた(p<0.01).2.AD患者においては,solubleα-ELISAにて測定した血清FcεRI-結合性IgE値のサンドイッチ-ELISAにて測定した総IgE値に対する割合(FcεRI-緒合性IgE/総IgE)は有意に低値であった(p<0.01).3.臨床的パラメーターではADの重症度スコアならびに好酸球数とFcεRI-結合性IgE値との間に相関が認められた.以上より,AD患者血清中のIgE分子にはFcεRIに結合し得ない種類の分子の存在,あるいは抗IgE抗体や抗FcεRI抗体など,IgEのレセプターへの結合を阻害する因子の存在が示唆され,現在解折中である.FcεRI-結合性IgEの絶対値は,一つのグループで,ADが重症になるほど増加しており,このグループのADの重症度を反映することが示唆された.

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© 1996 日本皮膚科学会
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