日本皮膚科学会雑誌
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パラフェニレンジアミン感作例における関連物質およびその他のアレルゲンのパッチテスト結果
西岡 和恵村田 雅子石川 武人
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1996 年 106 巻 11 号 p. 1397-

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抄録

平成3年11月から平成7年12月の4年2ヵ月間に山口赤十字病院皮膚科を受診し,PPDのパッチテストを施行した363例中,ICDRG基準で+以上の陽性を示した症例は45例(12.4%)であった.陽性例の内訳は,男17例,女28例,年齢は19歳から82歳(平均54.3歳)で40歳代から60歳代に多かった.陽性例のうちヘアダイに接触歴のあったもの39例,ヘアダイに接触歴のなかったもの2例,接触歴不明のもの4例であり,また初診時自家感作性皮膚炎を併発していたものが6例,黒ゴム製長靴(田靴)による接触皮膚炎例が3例認められた.ヘアダイに接触歴のあったもの39例のうち被染毛者は34例,美容師は5例であり,ヘアダイ接触開始後,皮膚炎を発生するまでの期間は,最短で4ヵ月,最長で30年であった.PPD関連物質に陽性を示した症例は45例中36例(80%),その他のアレルゲンに陽性を示した症例は45例中20例(44.4%)で,PPDに加え,PPD関連物質およびその他のアレルゲンのうちの何らかのアレルゲンに陽性を示した症例は45例中41例(91.1%)に及んだ.PPD関連物質の陽性頻度は,パラアミノアゾベンゼンが28/39例(71.8%)と最も高く,次いで塩酸パラトルエンジアミン14/31例(45.2%),パラアミノフェノール10/30例(33.3%),4N-オルトフェニレンジアミン8/26例(30.8%)の順で上位を占めた.その他のアレルゲンで,陽性例の多かったアレルゲンは,ウルシオール,ペルーバルサム,ネオマイシン,硫酸ニッケル,塩化コバルトおよび香料ミックスであった.

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© 1996 日本皮膚科学会
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