1996 年 106 巻 11 号 p. 1415-
最近polymerase chain reaction(PCR)法の開発により,従来の方法では検出できなかった微量な遺伝子産物が検出可能となった.我々は流血中にメラノーマ細胞の存在を示唆するtyrosinase mRNAについてreverse transcription-polymerase chain reaction(RT-PCR)法を用いて24例の悪性黒色腫患者の血液を解析した.stageⅠ(5例)では全例tyrosinase mRNAを検出しなかったが,stageⅡでは3例中1例に,stageⅢでは7例中1例に,stageⅣでは9例全てにmRNAを検出した.以上の結果から,この方法は原発巣はもとより,転移巣の存在の検出に有用な方法の1つと考えた.