日本皮膚科学会雑誌
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限局性強皮症における抗1本鎖DNA抗体のサブクラス値の検討
久保 正英藤本 学佐藤 伸一菊池 かな子竹原 和彦玉置 邦彦
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1996 年 106 巻 12 号 p. 1483-

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抄録

限局性強皮症65例(斑状強皮症(M)17例,線状強皮症(LS)34例、汎発性斑状強皮症(GM)14例)および健常人43例で血清中のIgG抗1本鎖DNA抗体およびIgM抗1本鎖DNA抗体をELISA法にて測定した.また,経時的測定が可能であった症例では副腎皮質ステロイド内服によるIgG抗1本鎖DNA抗体およびIgM抗1本鎖DNA抗体に対する影響を検討した.その結果IgGサブクラス値およびIgMサブクラス値の双方でGM>LS>M>健常人の順に高値を示した.また,各病型でIgGサブクラス値とIgMサブクラス値とを比較した場合,IgGサブクラス値がより高値を示し,重症度とIgGサブクラス値の間で相関が認められた.副腎皮質ステロイド内服で治療した例における抗1本鎖DNA抗体に対する影響はIgMサブクラス値に対するものよりも,IgGサブクラス値に対するものが大きく,副腎皮質ステロイド内服例,非内服例のいずれにおいても臨床経過はIgMサブクラス値よりIgGサブクラス値がより臨床経過と一致した.以上の結果より、限局性強皮症においてはIgGサブクラス値の抗1本領DNA抗体価が病勢の指標としてより有用と考えた.

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© 1996 日本皮膚科学会
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