日本皮膚科学会雑誌
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職業性接触皮膚炎 洗浄用溶剤SC-51による接触皮膚炎
野尻 麻里清島 真理子北島 康雄若松 建一
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1996 年 106 巻 2 号 p. 139-

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抄録

IC基板製造に従事していた16名(男13名,女3名)において,両側2~4指のDIP関節背面,及びそれより遠位の皮膚に黒褐色の色素沈着を認めた.洗浄用溶剤をAK-225U(エチルアルコール化合物)からSC-51(イソプロピルブロマイド+アミン)に変更後1ヵ月頃よりこの色素沈着は見られるようになり,これは同溶剤が接触する部位と一致した.3例においてパツチテストを施行したところ2例では原液のみで陽性,1例では10倍,100倍希釈液でも陽性を示した.色素沈着部より生検を2例で行ったところ,組織像は2例とも真皮上層血管周囲にリンパ球浸潤がみられ,1例では真皮上層にメラノファージが認められた.これらの所見より,第1例はアレルギー性,第2,3例は1次刺激性接触皮膚炎と考えられた.溶剤の使用を中止し,ビタミンCの内服を行ったところ色素沈着は軽快傾向にある.なおこれまでにイソプロピルブロマイドによる接触皮膚炎は報告されていない.

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© 1996 日本皮膚科学会
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