日本皮膚科学会雑誌
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ヒト気道肺胞系上皮細胞におけるサイトケラチンとⅦ型コラーゲンの発現
中島 美知子川並 汪一
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1996 年 106 巻 7 号 p. 965-

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抄録

表皮基底細胞ではサイトケラチン(CK)14に相当する中間径フィラメント(IF)がヘミデスモゾーム(HD)に集まり基底膜に付着する.基底膜にはⅦ型コラーゲン(Ⅶ)を主成分とするアンカリングファイブリル(AF)が付着し表皮―真皮結合を堅固にすることが知られている、この皮膚における特徴を対照に気道肺胞系上皮細胞における各種サイトケラチン(CK)10,13,14,17,19やⅦ型コう-ゲンの発現とその分布を免疫組織学的に検索した。その結果,気道肺胞系ではCK10,13の発現を見なかった.気道円柱上皮細胞,基底細胞,腺上皮細胞はCK19に反応した.また全ての基底細胞,導管上皮細胞,筋上皮細胞はCK17に陽性でこれらの細胞の基底膜に沿ってⅦ型コラーゲンが分布した.このコラーゲンの存在は終末細気管支まで確認できた.肺胞系上皮細胞は,今回検討した抗体のうちCK19にのみ反応した.また肺胞壁にⅦ型コラーゲンの反応を見いだすことは出来なかった.気道腺導管部の基底細胞とそれに連続する表層性基底細胞は孤立性で不規則にCK14に反応し,かつこれらの細胞は明瞭なHD-AFを形成する一群に相当した.残りの末梢までの基底細胞は全てCK14陰性でAFの発達に乏しい特徴を示した.特にAFの発達程度は多彩であり終末領域ではほぼ完全に欠如した。Ⅶ型コラーゲンの出現にもかかわらずAFを認め難い事実の意義について検討した

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© 1996 日本皮膚科学会
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