日本皮膚科学会雑誌
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群馬大学皮膚科における全身性強皮症男性例の検討
嶋岡 正利秋元 幸子田村 多繪子石川 治宮地 良樹
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1997 年 107 巻 1 号 p. 15-

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抄録

全身性強皮症(systemic sclerosis,以下SSc)男性例の臨床的特徴を明らかにするために,自験男性例47例を女性例362列と臨床的に比較検討した.男性例の特徴として,(1)Barnett分類のtypeⅡが少なく,typeⅢ,このうち特にGeneralized morphea-like SSc(以下GM-like SSc)が多い,(2)びまん性色素沈着をみとめる例が多い,(3)発症から初診までの罹病期間が比較的短い,(4)抗TopoisomeraseI抗体(以下抗Topo I抗体)陽性率が高く,抗セントロメア抗体,抗nRNP抗体陽性率が低い,(5)症例全体としては死亡率および生存率に男女差はない,(6)SSc関連死は男性例が多いが,タイプⅢのみを比較すると関連死の頻度は男女例とも同等であることが明らかとなった,以上より男性例は広範に皮膚硬化にみとめられる例が多い結果として,その特徴である経過が比較的急速で予後不良例の多いことがうかがわれた.タイプⅢのうち、GM-like SScが多いことは男性例の特殊性を考える上で興味深く発症因子の解析を含めた検討を要すると考えられる.

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© 1997 日本皮膚科学会
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