抄録
4歳,男児.生後6ヵ月頃からタ至イに褐色調の色素沈着が出現し,次第に拡大した.それ以前には,炎症症状を伴う皮膚病変は認識されていない.出生時から左足趾の変形が認められるほか,既往歴として停留睾丸,脱肛があった.2親等以内に血族結婚はなく,家族内にも同症は認められない.初診時,手掌と足底を除くタ至イと四肢のBlaschko's lineに沿って,左右対称性に点状の色素沈着が線状,らせん状に認められた.一般血液検査での異常はなく,末梢血リンパ球による染色体分析においても正常だった.組織学的には,表皮に不規則なbasal pigmentationが見られ,]R離ドーパの結果,メラノサイトの数が正常部と比してほぼ2倍に増加していた.電顕的にも,メラノサイトの増数が確認されるとともに,メラノサイトがメラノソームを活発に産生している所見が得られた.上記のとおり,経過中に炎症症状を伴う皮膚所見が認識されていないことや組織学的に真皮にメラノファージを伴わないbasal pigmentationが認められることから,Linear and whorled nevoid hypermelanosisと診断した.