日本皮膚科学会雑誌
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手掌・足底母斑細胞母斑におけるデルマトスコピー所見の検討―組織学的所見との対比および早期悪性黒色腫との鑑別点の検討―
森 雅史
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1997 年 107 巻 14 号 p. 1843-

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抄録

手掌・足底母斑細胞母斑118病巣をデルマトスコープを用いて観察した.すべての病巣を7型の色素パターン(1.parallel pattern,2.brushing pattern,3.lattice like pattern,4.crista dotted pattern,5.crista diffuse pattern,6.crista reticulated pattern及び7.mixed pattern)に分類し得た.各々の色素パターンに対し三次元的な視野で組織学的に検討した所,主に表皮真皮境界部,角層などにおけるメラニン顆粒の局在,及びそれらの平面方向への広がりにより色素パターンの構築が決定されることが明らかになった.又,手掌,足底悪性黒色腫11例についても同様の検討を加えた.真皮内浸潤を認める部位では,皮溝,皮丘を問わない均一な色素沈着,grey-blue area,black dotsないしglobulesがみられ,母斑細胞母斑と容易に鑑別できた.今回は特に母斑細胞母斑との鑑別が問題となる.極めて早期の表皮内病変について詳細に検討した.それらはbrushing様構造を呈したり,parallel patternに類似する色素沈着を認めるものもあった.しかし,いずれも詳細に観察すると,色素斑全体のムラ,皮丘部に優位の濃い色調,及び母斑細胞母斑の色素パターンと異なる不規則な構造等の点から母斑細胞母斑と鑑別する事ができた.

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© 1997 日本皮膚科学会
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