日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
Sparfloxacinの臨床薬理試験
堀尾 武橋本 洋子
著者情報
ジャーナル 認証あり

1997 年 107 巻 6 号 p. 787-

詳細
抄録

ニューキノロン系抗菌剤の副作用として光線過敏反応がある.副作用の防止には,薬剤の薬理学的特性を知ることが重要であるが,今回われわれは,sparfloxacin(SPFX)の光毒性反応に関する臨床薬理試験を健常人を対象として実施した.単回投与試験の結果,SPFX 100mgのUVA最少反応量は24J/cm2,200mgでは18J/cm2であった.しかし,すべての対象に光毒性反応を誘発するには,200mg単回投与では24J/cm2以上のUVA照射が必要であった.服薬2時間後よりも6時間,12時間後にUVA照射した方が反応を生じやすかった.200mgを5日間反復投与では,単回投与に比べて反応の発現頻度や程度が若干高い傾向にあった.光毒性反応も血中濃度も3日~5日投与の間には大差がなかった.内服中止後も3日目までは,30J/cm2のUVAで光毒性反応を生じうるため,過度の日光曝露に注意する必要がある.しかし,内服中であってもサンスクリーン剤を塗布していれば,30J/cm2照射に対しても反応をほぼ防止することができる.これらの結果は,SPFXを投与する患者の日光曝露に関する指導に有益なデータと考える.

著者関連情報
© 1997 日本皮膚科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top