日本皮膚科学会雑誌
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尋常性天疱瘡に対する免疫吸着療法―トリプトファンリガンドカラムを用いた免疫吸着法の試み―
久道 勝也矢口 均山田 裕道高森 建二小川 秀興
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1997 年 107 巻 7 号 p. 861-

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抄録

尋常性天疱瘡10例に免疫吸着療法を施行しその治療成績を報告した.免疫吸着材には,本来重症筋無力症に適応のあるトリプトファン固定化ポリビニルアルコールゲル充填カラム(Immusorba TR-350■)を用いた.免疫吸着療法施行後の天疱瘡抗体価の減少は,10例全例(100%)に,臨床症状の改善は8例(80%)に,ステロイド投与量の減量は8例(80%)に,寛解導入は9例(90%)に認められた.寛解9例中1例は再発したが,残り8例は微量のステロイドの内服と1~2週に1回の維持療法としての免疫吸着療法にて現在も寛解中である.これらの治療成績は,天疱瘡抗体がトリプトファンリガンドカラムによって,吸着・除去されたことによる結果と思われた.免疫吸着療法は将来的には血漿交換療法に取って代わる可能性がある有用な治療法であり,今後の天疱瘡の治療法においては天疱瘡抗体にのみある吸着剤の開発が期待される.

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© 1997 日本皮膚科学会
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