日本皮膚科学会雑誌
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限局性強皮症と原発性胆汁性肝硬変の合併 臨床的特徴および抗ミトコンドリア抗体の反応性に関する検討
藤本 学菊池 かな子玉置 邦彦相馬 良直
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1997 年 107 巻 7 号 p. 877-

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抄録

限局性強皮症と原発性胆汁性肝硬変を合併した2例を報告し,その臨床的特徴および抗ミトコンドリア抗体の反応性について検討した.症例1:64歳,女性.約1年前より四肢に対称性に淡褐色硬化局面が出現.症例2:59歳,女性.4年前よりタ至イに淡褐色硬化局面が出現.2例とも組織学的に膠原線維の増生が認められ,限局性強皮症と診断した.症例1は初診時より,症例2は2年後より胆道系酵素の上昇が認められ,抗ミトコンドリア抗体の存在と合わせて原発性胆汁性肝硬変の合併と診断した.原発性胆汁性肝硬変を合併した限局性強皮症は今回の2例も含めてこれまでに5例の報告があり,いずれも中年以降に発症した女性で,皮疹が対称性に多発するgeneralized morpheaの病型をとるという共通点が見いだされた.さらに,本例およびわれわれのこれまでの全身性強皮症,限局性強皮症における検討から抗ミトコンドリア抗体の主要対応抗原であるpyruvate dehydrogenase complexのサブユニットのうちPDC-E1aに対する抗体が原発性胆汁性肝硬変の発症の血清学的指標となる可能性が考えられた.

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© 1997 日本皮膚科学会
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