日本皮膚科学会雑誌
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顆粒リンパ球増多症に合併した尋常性白斑の1例
神部 隆之押味 和夫溝口 秀昭南 孝明溝口 昌子
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1997 年 107 巻 8 号 p. 973-

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抄録

45歳男性,初診の約5ヵ月前より顔面に脱色素斑が出現.尋常性白斑と考え,自己免疫疾患合併の有無を検索した.その結果,CD8優位のリンパ球増加を認めたため,さらに精査を行いantibody dependent cellular cytotoxicity(ADCC)活性を有するT細胞型(CD3+4-8+)の顆粒リンパ球増多症と診断した.経過観察中さらに赤芽球癆を合併し,赤芽球癆と白斑の寛解増悪が一致していることに気付いた.顆粒リンパ球増多症に合併する赤芽球癆は,顆粒リンパ球の骨髄浸潤が原因と考えられていることより,尋常性白斑は顆粒リンパ球の皮膚浸潤が原因ではないかと考えた.そこで今回我々は,白斑の真皮に浸潤しているリンパ球の表面マーカーを免疫組織化学的手法により検索した.その結果,真皮に浸潤しているリンパ球はCD8優位であり,顆粒リンパ球の皮膚浸潤である可能性が示唆された.自験例は尋常性白斑を合併した顆粒リンパ球増多症の初めての症例である.

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© 1997 日本皮膚科学会
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