日本皮膚科学会雑誌
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重症アトピー性皮膚炎―悪化因子の検索と治療―
出口 英樹杉浦 久嗣尾本 光祥上原 正巳
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1998 年 108 巻 1 号 p. 21-

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抄録

重症アトピー性皮膚炎患者115症例を入院させ,スキンケアを指導し,ステロイド短期内服と抗アレルギー剤の併用療法およびステロイド外用で治療した.その結果,全症例において治療1週~2週で皮膚炎は著しく改善した.各症例において皮膚炎の悪化因子を調べたところ,104例(90%)で悪化因子が見つかった.悪化因子の主なものは誤ったスキンケア27例(23%),非科学的治療55例(48%),外用剤の接触皮膚炎31例(27%)であった.退院後は通常の治療を行ない,3~6ヵ月後まで定期的に観察したが,経過観察できた症例の大多数(約80%)では皮膚炎の悪化は起こらなかった.今回の結果から,アトピー性皮膚炎の重症例においても,適切な生活指導と悪化因子の除去を行なえば、通常の治療で皮膚炎をコントロールすることが可能であると思われる.

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© 1998 日本皮膚科学会
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