1998 年 108 巻 1 号 p. 9-
BALB/cマウスでの3,3',4',5-tetrachlorosalicylanilide(TCSA)に対する光接触過敏症(contact photosensitivity;CPS)において,光惹起後の皮膚を経時的に採取し,発現するT細胞サイトカインの変化を,reverse transcriptase/polymerase chain reaction(RT-PCR)法を用いて解析を行った.また,2,4-dinitrofluorobenzene(DNFB)を抗原とする接触過敏症(contact sensitivity;CS)との比較も合わせて検討した.その結果,TCSAによるCPS惹起局所では,interleukin(IL)-4,IL-6及びIL-10のmRNA発現の上昇が顕著に認められ,IL-2及びinterferon-γ(IFN-γ)の発現は軽微であった.一方,DNFBによるCS局所では,IL-2及びINF-γのmRNA発現の変動が,より顕著に認められた.以上より惹起反応局所において,CPSではTh2タイプ,CSではTh1タイプのサイトカインが各々優位に発現することが示唆された.