日本皮膚科学会雑誌
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顔面紅斑を有する重症アトピー性皮膚炎患者における紫外線照射試験成績
出口 英樹杉浦 久嗣段野 貴一郎上原 正巳
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ジャーナル 認証あり

1998 年 108 巻 2 号 p. 147-

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抄録

顔面紅斑を有するアトピー性皮膚炎患者120例に対し,紫外線照射試験,光貼布試験を行なった.日光曝露で皮膚炎の悪化を訴えなかった群84例では光線試験による異常反応は認められなかった.一方,日光曝露で皮膚炎の悪化を訴える群36例中12例で光線試験による異常反応が認められた.紫外線照射試験では異常反応を呈した症例が8例,光貼布試験では陽性例が6例であった(うち2例は重複例).紫外線照射試験で異常反応を呈した症例の内訳はUVA照射で紅斑反応を呈した症例が3例,UVB照射で最少紅斑量の低下を呈した症例が2例,UVB照射で丘疹反応を呈した症例が4例であった(うち1例は重複例).この結果から,日光曝露で皮膚炎が悪化するアトピー性皮膚炎の形態は一様でなく,数種類の反応形態があることが明らかになった.またこれらの紫外線照射試験で陽性となった症例の顔面紅斑はきわめて難治性であることから,顔面難治性紅斑を伴うアトピー性皮膚炎患者に光線試験を施行することは有意義であると考えられた.

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© 1998 日本皮膚科学会
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