日本皮膚科学会雑誌
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平成9年度の風疹流行における皮膚科受診患者と院内感染防止対策について
西嶋 攝子笠原 美香近藤 雅子津田 信幸
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1998 年 108 巻 5 号 p. 729-

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抄録

平成9年の早春から初夏にかけて風疹の大流行を経験した.本年2月から8月の期間に皮膚科を受診した風疹患者は32名であり,男女比は5:3で男性が多かった.10歳代が8名,20歳代が10名,30歳代が8名,40歳代が4名であり,2歳が1名,56歳が1名であった.臨床的には特徴的な発疹以外に,半数以上に37.5℃以上の発熱と眼瞼結膜の充血を認め,発熱は10名が38℃以上の高熱であった.臨床検査では異型リンパ球の出現と白血球数減少を高頻度に認めた.4月には10人を超える職員にも風疹の発生みたため,既往歴およびワクチン接種歴のない職員のうち希望者全員の抗体価を測定した.測定を実施した職員は360人であり,全職員541人の66.5%にあたる.このうち風疹抗体価(HI)が8倍以下の者は16人であり,その中の11人が看護婦であった.抗体価が8倍と8倍以下であった者のうち希望者全員にワクチン接種を施行した.風疹の定期的ワクチン接種は本邦では1995年から開始されているが,現時点ではかなりの抗体未保有者が存在していると推測できる.医療施設内での風疹の流行を防ぐためには,入職時に抗体価の測定を実施し,抗体未保有者にはワクチン接種を義務づけることを考慮すべきと今回の経験より考えた.

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© 1998 日本皮膚科学会
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