1998 年 108 巻 5 号 p. 739-
40歳時発症し,51歳時に当科で肺,食道病変を伴うBarnett3型の全身性強皮症(SSc)と診断された女性が,54歳時に急性腎不全,肺胞出血をきたし入院となった.入院時perinuclear anti-neutrophil cytoplasmic antibody(P-ANCA)は高値であったが,腎生検では明らかな血管炎の組織像は認められなかった.ステロイドパルス療法で腎不全症状および肺胞出血は改善し,それに伴いP-ANCAも陰性化したが,中心静脈カテーテル感染からの敗血症により死亡した.同様症例の報告は未だ少なく,今後P-ANCA陽性SScの臨床的特徴を明らかにしていく上で貴重な症例と思われる.