日本皮膚科学会雑誌
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好酸球性肺炎を合併し,ポビドンヨードが誘因と考えられたEosinophilic cellulitis (Wells症候群)
前田 成美宮崎 美智代池田 忠世安藤 佳洋
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1998 年 108 巻 5 号 p. 755-

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抄録

好酸球性肺炎を合併し,ポビドンヨードが誘因と考えられたEosinophilic Cellulitis (EC)の63歳男性例を報告した.両側下腿のそう痒性病変にポビドンヨードの外用を約3週間続けていたところ,大小の緊満性水疱を伴う,蜂窩織炎様皮疹を生じた.末梢血好酸球数と血清IgE値は上昇しており,抗核抗体が陽性であった.病理組織学的には,真皮全層と皮下脂肪織にflame figure像を伴う著明な好酸球浸潤を認めた.ポビドンヨードによる貼布試験部位が初期あるいは軽度のECに相当する組織像を呈したことから,ポビドンヨードに対する過敏反応が発症の誘因と考えられた.また,自験例は経過中に好酸球性肺炎を合併した.ポビドンヨードが発症に関与したと思われる症例の報告は自験例が初めてであり,なおかつHypereosinophilic Syndromeとの異同を考えるうえでも興味深い症例と考えられた.

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© 1998 日本皮膚科学会
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