日本皮膚科学会雑誌
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Epstein-Barrウイルスと皮膚
岩月 啓氏
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1999 年 109 巻 14 号 p. 2189-

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抄録

Epstein-Barr(EB)ウイルスはヘルペスウイルスに属し,幼少期の初感染は不顕性感染のことが多いが,思春期の感染では伝染性単核症をおこしたり,ときにGianotti-Crosti症候群やウイルス関連血球貪食症候群を起こすことがある.EBウイルスの潜伏感染は,アフリカのBurkittリンパ腫,上咽頭癌,移植後リンパ腫,末梢NK/T細胞リンパ腫,慢性活動性EBウイルス感染症,胃癌,膿胸関連リンパ腫や免疫不全患者の平滑筋肉腫などに検出される.最近,われわれは皮膚のEBウイルス関連リンパ腫の臨床病理学的特徴を検討した.その研究をとおして種痘様水疱症や,それに類似した重症型皮疹をとり悪性変化をきたす症例がEBウイルスの潜伏感染と関連していることを見い出した.EBウイルス関連リンパ腫はアジアに頻度が高く,欧米ではまれである.EBウイルスの病因的意味はいまだに十分には解明されていないが,潜伏感染時に発現されるウイルス遺伝子産物が細胞の不死化に関係した生物学的活性を有することが知られている.また,EBウイルスは宿主の免疫監視機構を回避し,ウイルス感染を維持する巧妙な方略を用いていることもわかってきた.

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© 1999 日本皮膚科学会
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