抄録
数年間両下腿に交互に壊疽性膿皮症を繰り返していた男性例において、皮疹悪化時にぶどう膜炎による視力障害と網膜の循環時間遷延の合併をみた.本症の病因は未だ不明であるが,50%以上に全身性疾患を合併すると言われており、これまで多くの合併症が報告されてきた.しかし眼合併症の報告はほとんどない.自験例を含む多くの本症では,わずかな外的刺激が誘因となって潰瘍に進行しており,このことはBehcet病などと同様の生体側の反応性亢進状態(hyperreactive)の存在が示唆される.自験例ではぶどう膜炎の合併がみられ,皮膚症状と眼症状の病勢がほぼ一致していたことは,本症とBehcet病の類縁性を想定する上できわめて興味深い現象と考えられた.