2歳,女児.初診の約1ヵ月前より,顔面に小水疱が出現.徐々に上下肢,躯幹に拡大,皮疹は小水疱が環状に配列する紅斑で臨床的にlinear IgA bullous dermatosisを疑った.組織学的には表皮下水疱であった.免疫蛍光抗体直接法で基底膜部にIgGとC3の線状沈着をみとめ,間接法でIgGクラスの血中抗基底膜部抗体は40倍陽性,1モル食塩水剥離皮膚を基質とした場合は血中抗体は真皮側のみと結合した.また免疫ブロット法,免疫電顕検索にて本患者の血中抗体はⅦ型コラーゲンのNC1-domainではなくtriple-helicial collagenous domainと反応していることがあきらかとなった.治療はプレドニゾロンの内服が著効を示した.自験例は従来見られる成人の後天性表皮水疱症とは臨床,および血中抗体の反応性,治療の面で異なる新しいタイプの可能性が示唆された.