日本皮膚科学会雑誌
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肝炎に対するインターフェロンβ療法後に再燃したと考えられたサルコイドーシス
川口 雅一安孫子 孝宏小関 伸三橋 善比古近藤 慈夫小川 俊一
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1999 年 109 巻 4 号 p. 641-

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抄録

インターフェロンβによりサルコイドーシスが再燃したと思われる1例を経験した.症例は60歳,女性.初診の5年前に両上腕,臀部に皮下腫瘤が出現し,組織学的にサルコイドーシスが考えられたが,皮膚以外の症状や所見がなく確定診断にはいたらなかった.初診の4ヵ月前から,C型慢性肝炎のためインターフェロンβの投与を行ったところ,投与開始2ヵ月後より,5年前と同じ部位および手術痕などに皮下腫瘤が出現した.定型的な生検組織所見,CT上BHL陽性,血中ACEおよびリゾチーム上昇,ツ反陰性などからサルコイドーシスと診断した.インターフェロンの投与は既に終了しており,また皮膚以外に侵襲性のある症状がないため経過観察していたところ,インターフェロン療法終了後3ヵ月で皮下腫瘤はほとんどふれなくなった.近年,主として内科領域から,インターフェロン療法後にサルコイドーシスが出現あるいは増悪したとの報告があり注目されている.インターフェロン療法中にはサルコイドーシスの合併に注意しながら投与する必要があると考えられた.

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© 1999 日本皮膚科学会
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