1999 年 109 巻 8 号 p. 1165-
近年,細胞工学の進歩に伴い培養表皮シート移植は広く臨床応用可能となってきた.我々は,従来の培養表皮シート自家移植の発展系として三次元培養皮膚を作成し,基底膜構成成分,細胞接着分子,分化抗原について免疫組織学的ならびに電子顕微鏡的に検討した.従来の培養表皮シートと比較して,強固な角層の形成が認められ,細胞接着分子,分化のマーカーはvivo表皮と同様に十分に発現していた.基底膜構成成分については,ヘミデスモゾームの形成は良好で,類天疱瘡抗原,β4インテグリンは十分に発現していたが,基底板,係留線維の形成は認められるものの不連続で,不完全なものであった.難治性皮膚潰瘍患者2例に従来の培養表皮シート自家移植と三次元培養皮膚自家移植を組み合わせて使用し,明らかに生着性の向上を認めた.